ファッションの歴史 > 50年代ファッション > ディオールの「ライン」とバレンシアガの「チュニック」

50年代後半、シルエット時代の終焉

■ディオールの「ライン」とバレンシアガの「チュニックスタイル」の全盛

「チュニックスタイル」は55年に全盛を迎えます。「チュニックスタイル」に見られる基本的にスリムなシルエットが多く発表され、 バレンシアをはじめとする多くのデザイナーが取りいれました。

55年ディオール「Yライン」はバストが高く扱われ、なんとなくYの字に見えることいったレベルでAライン、Hライン程の人気にはならず「チュニックスタイル」に押された形になりました。

■56年「マグネットライン」

56年ディオールは「マグネットライン」を発表。今度はまたウエストを細め、スカートを馬蹄型のマグネットのように膨らませました。頭には丸い帽子を、肩は丸みのあるデザイン全体でマグネットのようなデザインを表現。56年のファッションは55年からの流れを受け継ぐものが多く、傾向としてはスリムな中でもやわらかい女性らしさをアピールしました。 翌シーズン、ディオールはFライン(アローライン)を発表し、Hラインを発展させ曲線的なやわらかさを表現しました。

このころからジバンシーシャネルによりシュミューズ・ドレスが発表されます。(シュミューズ:はだ着の意) フランスでは流行になりませんが、アメリカでスレンダールックとしてアレンジされて人気になりました。

■57年S/S、ディオールの「リバティーライン」

「リバティーライン」とは名の通り自由なライン、特定のシルエットを主張しないラインで、シックやエレガンスを表現。 どちらかというとチュニック、シュミューズの路線にはいります。57年autumn-winterではリバティーラインの流れを受け継ぎスピンドルライン発表。これは紡錘形の形をし、徐々に細長くなるのが特徴です。

■シュミューズスタイル(サックドレス)

57年もバレンシアがジバンシーを中心にチュニックスタイル、シュミューズスタイルが発表されます。 スピンドルラインもシュミューズ・ドレスも世界的に話題にはなりましたが、はじめは流行にはなりませんでした。 理由はサック(袋)のようなシルエットでは女性らしい体系の美しさが隠されてしまうと言うものです。 アメリカではこのようなドレスをサックドレスと言いました。 が、58年頃から若い女性を中心に世界的な流行にまります(アメリカではジバンシー・シュミューズがすでに流行になっていたのですが・・・)。

■ディオールの死

1957年10月24日これまでファッション界を引っ張ってきたクリスチャンディオールが52歳の若さで死亡します。イタリアに旅行中に心臓麻痺を起こしたのが原因でした。これはファッション界にも大きな衝撃を与えます。毎年ディオールが打ち出してきた「ライン時代」、シルエットの変化を打ち出していくスタイルの終焉を予感させました。

■58年以降~ディオールの去ったファッション業界

58年ほとんどのデザイナーがシュミューズ・ドレスを基本としたをサックドレスを提案。

※サックは「袋」のことで、ずん胴形のまるで袋のような形を表しますが、ウエストラインを開放してあるものの決してずん胴型ではなく、体の動きに非常にフィットしたものでした。それまでのウエストをくびれさせたラインのドレスとはちがい、全くウエストラインをマークしないもので、その新しさと着やすさが当時の女性たちに受け入れられ、日本も含め世界的に大流行しました。

イヴ・サンローランが就任して初めてのコレクション開催となるクリスチャン・ディオールは「トラペーズライン」を発表。これはハイウエストでこころもちフィットさせたもので、フレヤーさせたシルエットが特徴です。これもサック・ドレスの一種と言われています。

サックドレスはどのようなスタイルでも一見サック風に見え、何らかの形で体にフィットさせているので、イージーフィットと呼ばれました。

■イヴ・サンローランの苦悩

イヴ・サンローランは21歳でディオール王国を引き継ぎ、「トラペーズライン」で注目を集めますが、思う存分個性を発揮できたわけではありませんでした。ディオールはすでに世界中に顧客を抱えていたため、サンローランの前衛的なデザインは、ディオールの営業マンや技術者が無難で保守的な傾向を採用しようという考えとは合わなかったのです。彼のやりかたは受け入れられず、これがデザイナーの交代に繋がります。

ディオールのデザイナー交代はサンローランが徴兵されるときにおこりますが、徴兵終了後にディオールのデザイナーポストはマルク・ボアンになっており、サンローランに戻る場所はありませんでした。

ディオール側もその方が都合が良かったのです。これを機にイヴ・サンローランは独立を決意するのです。

トピック

・ディオール死亡:57年10月24日享年52歳(57年)
・58年S/Sからクリスチャン・ディオールの後継者としてイヴ・サンローランが就任。若干21歳であった。
・ファットの閉店(57年)
ギ・ラロッシュの開店 (57年)