ファッションの歴史 > 20世紀の初頭のファッション > オリエント

オリエント

オリエンタリズム

オリエンタリズムは中国、インドなど「欧州から東方」をひとまとめにして、工芸品、美術、文学など様々な文化を、欧州のものに取り入れるムーブメントで、西ヨーロッパにはない異文明の物事・風俗に対して抱かれた憧れや好奇心を指します。

これは20世紀に始まった動きではなく、それ以前も存在していました。オリエンタリズムのムーブメントが、20世紀初頭に再度起こったのは、ロンドン、パリなどで開催された、万博の影響、ボヘミアン運動などの影響が大きかったと言われています。

西洋の文化やファッションなどと対比して、西洋にはない珍しさ、エキゾチックな雰囲気が当時の人を魅了したと言われています。このような20世紀初頭のシーンは映画「ムーランルージュ!」などでも題材とされています。このようなオリエンタリズムの動きの中心にいたのが、バレエのニジンスキー、ファッションではポールポワレです。

ポワレはインド、中東、中国、東ヨーロッパの服飾の要素、西洋絵画、古典ファッションまでを取り入れたデザインを展開しました。代表的なものが中国に影響を受けた「孔子コート」、ペルシャに影響を受けた裾広がりのチュニック「ソルベ」などです。

コルセットからの解放とオリエント

コルセットは体を締め付けること、抑制するもので、禁欲的な倫理観を表現したものであり、オリエント的なエロティシズムとは対象の存在でした。体のラインが見えるようなデザイン、オリエントの要素を取り入れた表現は、エロティシズムの一種の表現だったのです。

またオリエンタリズムが、インド、イスラム圏、中国の文化を正確に表現したものではない、ということは押さえておくべきポイントです。

欧州から見ると、オリエントは全く違う文化で、珍しい、野蛮、エロス、独裁といったキーワードが当てはめられ、ある種、芸術家のイマジネーションから生まれたものです。ファッションも例外なく当てはまります。オリエントの文化を、そのまま取り入れた訳ではなく、インスピレーションとなる、対象だったのです。

コルセットからの解放とファッション

ポワレのコルセットに関しては、社会的な意味で女性の自立や解放を目的としたものではなく、新しい美学への表現だったという指摘もあります。つまり、コルセットを取り除いたのはオリエントの要素、美学を、ファッションに取り入れるために起こったもの、という主張です。(ポワレ自身は自伝にて「女性を解放した」と述べていますが)