シンプルな時代へ
ファッションの変化
60年代は、ユースカルチャーがハイファッションの世界にも取り入れられる象徴的な時代です。
ファッションは19世紀までは宮廷のもの、20世紀に入っても貴族や一部のお金持ち、映画スターが中心でした。この体制が2度の大戦をまたいで徐々に崩れ始めるのです。これは既製服業界の発達と大きく関係があります。
流行を作っていたオートクチュールのパターンが変化しだしました。ファッション産業はアメリカに代表される広範囲な消費者層を相手にする既製服産業への路線を歩んでいきました。
もちろんアメリカのお金持ち層は相変わらずパリのオートクチュールを支持していましたが、変化を生み出したのは既製服を着る若者の文化でした。
変化を求めて新しいものを取り入れようと考える若者とそれに答える既製服産業が拡大していくのです。このようなことからオートクチュールより先に若者のファッションが先行するといった事態さえ生まれていきます。代表例が50年代後半のシュミューズドレスやミニスカートです。50年代終わりから60年代の始まりにかけて確実にファッションは変わりはじめました。
■シンプルなファッションへ
「極度にシンプルにすることが明日へのシルエット」イヴ・サンローラン
近代デザインの発展は機能主義に支えられてきました。それは機能的なものが「ただそれだけで美しい」となるもので、デザインの美しさと装飾の美しさは異なるものという考えです。
戦前、シャネルなどの活躍で機能的なファッションが打ち出されていきますが、戦後、ディオールのニュールックに始まるシルエットの強調による美しさを求める時代になりました。これはそれまでの流れから考えると、反機能主義とも言うべきものです。
ディオールを中心としたニュールック以降、1957年まではラインの時代で、多様なシルエットが提案されました。この時代は20年代からの流れ−2よりファッションが機能的になる流れ−を「逆流した」のです。
しかしその流れも戦後10年を過ぎる頃に変化が生まれまじめます。世の中の流れ、若者文化の影響、既製服産業の発展、それをオートクチュールも黙殺はできませんでした。シンプルな時代に変わろうとしていたのです。
50年代後半、57年以降から、反機能主義的なファッションの中で機能美が打ち出されてきましたが、60年のデザインはイヴ・サンローラン、クレージュが中心となりシンプルなデザインを打ち出します。
シンプルな機能性重視の傾向は50年代から60年代前半まで続き、シルエットの決定的な変化など新しい変化が起こりませんでした。これは63年あたりまで続きます。
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