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ファッションとアート

アートとファッションの融合

ファッションとアートの融合を考えた場合、アートをファッションに取り込もうとする動きは、すでに19世紀から存在していました。中世芸術、未来派、前衛芸術家グループの影響を受け、服飾にアートを取り込んでいたのです。

アートの要素を取り入れたスタイルはパリのオートクチュールのエレガンスを追求したものとは、やや異なるもので、貴族やブルジョワを中心に回るファッション業界をやや冷笑的に捉えていました。前衛芸術グループは、対象を、ブルジョワジーなどの高所得層に置いているわけでもなく、一般層に置くわけでもなかったため、広く受け入れられるものではありませんでした。

30年代のファッション

30年代は1929年アメリカから起こった世界恐慌の煽りを受けて、世界的に不況になり、パリのモードも大きく売上げを落としました。ヒトラーが台頭したのもこの時代です。ちなみにパリのモードは停滞しますが、アメリカの裕福層はそれほど打撃を受けることなく、ファッション界における、メゾンの生き残りはアメリカの裕福層をいかに押さえられるか、という点にかかっていました。

30年代のスタイルを振り返ると、大衆消費の流れの中で、シャネルがよりスポーティなファッションを展開し、クレアマッカーデルがより実用的なアメリカンスタイルを打ち出していました。ファッションはより機能的で、シンプルな方向に進んでいました。

このように主流がある中で、一際目立った、目新しかったのが、前衛芸術をファッションデザインに取り込もうとした、エルザ・スキャパレリです。

シュールレアリスム

エルザ・スキャパレリは、シュールレアリスムを中心に、ロシアンアバンギャルド、キュビスムなどの影響を受けていました。

シュールレアリスム(超現実主義)は芸術の形態で、「ものすごく過剰なまでに現実」というような意味をさします。芸術運動としてのシュールレアリスムの始まりは、「シュールレアリスム宣言」が発せられた1924年、あるいはその少し前からと言われています。代表的な芸術家はサルバドール・ダリ、ルネ・マグリットなどです。

スキャパレリはダリとコラボレーションを行い、大きな話題となりました。例をあげていくと、「かぶる帽子」ではなく、「履く帽子」を表現した靴帽子、引き裂かれたプリントのドレス、ロブスターが描かれたドレスなど、日常的なものを、非日常で表現する試みを行いました。

スキャパレリのファッションは批判も浴びますが、目新しさや、新しい分野へ積極的に挑戦しているその姿勢からアメリカの女性に受け入れられました。

その後の影響

スキャパレリのような試みを行ったことで有名なところがイヴ・サンローランジャン・ポール・ゴルチエトムフォードによるグッチのコレクションなどです。イヴサンローランは「エルザの目」と題された、大きな目のプリントが施されたジャケットを発表しました。トムフォードは現代の性的な解放を比喩したデザインを発表しました。本来、服の中に隠されているはずの胸をジャケット(オッパイジャケット)にしたり、男性、女性の性器を連想させるデザインを展開しました。